noteの推薦チームの紹介 - 2024年版
推薦チームでエンジニア 兼 PMを担当している露木です。
推薦システムの開発は難しいという印象を持つ人が多いかもしれません。そんな印象を変えるために、noteの推薦チームがどんな活動をしているのかを、この記事でわかりやすくお伝えしたいと思います。
noteの推薦システムの目的
推薦システムの目的は、「noteがあることで人々が本当に伝えたいことに専念できるようになる」ことです。
コンテンツを作ったら欲しい人に自動的に届くようにしていきたいと考えています。
ただし、コンテンツを届けるだけでは足りない部分があります。
見たくない情報が遮断されてしまうフィルターバブルやユーザーの飽きの問題が発生してしまいます。
基本的に、推薦システムはすでにユーザーが既知で興味があるものを発見できるように作られています。
しかし、ユーザーがすでに知っているコンテンツを推薦されていくと、次第に感動がなくなり、どんどんと陳腐化していってしまう現象があります。
そこで、noteの推薦チームでは、ユーザーの興味関心を満たすだけでなく、まだ知らない感動できるものを発見することを目標としています。
我々は「驚きを最大化する推薦エンジン」を作りたいと考えているのです。
驚きを最大化するためには、既知の分野と未知の分野でそれぞれパーソナライズされた記事が発見できるシステムを作っていく予定です。そのための要素技術の開発を今は頑張っている段階です。
推薦システムの説明 - 驚きの最大化のために必要なもの
驚きを最大化する仕組みをつくるため、まずはクリエイターとコンテンツの数値化とそれぞれの関係性を計算を行っています。関係性を理解するために、コンテンツと人の性質を理解しようという試みです。
以下のように様々な方向性の性質から推薦を行うように実験しています。
関係性を計算できるようになったことで、推薦チームでコンテンツの近さを検索するエンジンを開発することができました。類似の記事やクリエイターを簡単に見つけることができるシステムです。
実際に検索システムのプロトタイプを作って、特定の部署ではすでに利用してもらっています。驚きを最大化するための仕組みづくりは着実に進んでいるのです。
2024年度の上期の取り組みと効果
現状のnoteの推薦システムは、導入から時間が経過しており、現在の課題とはそぐわない部分があります。そのため持続的な改善が難しく、再設計をする必要があると考えています。
推薦システムには、「候補を見つける」「条件で絞り込む」という2要素が必要です。類似度検索はある程度整いましたが、条件で絞り込む部分は開発中です。
2024年上期の取り組みとしては、記事下のおすすめの改善を行いました。推薦エンジンを切り替えて、候補を見つけることにフォーカスしました。
短いスパンでの比較ですが、移行後の売り上げは2倍以上に増えています。クリック数も若干増加し、処理速度が平均0.95秒から平均0.45秒に向上しています。
また、昔に投稿された記事下でも、最新の記事が推薦されるような仕組みに置き換えることができました。
まとめ
推薦チームは驚きを最大化するために、下期も改善を続けていきます。
2024年下期の取り組みとして、トップページの「今日のあなたに」や「カテゴリ」なども改善していく予定です。より見つけやすくするために、見え方を整えていきます。
機械学習を使ったシステム基盤の開発には時間がかかります。しかし、「noteがあることで人々が本当に伝えたいことに専念できるようになる」という目的を達成するために、着実に開発を続けていきたいと思っています。
推薦チームは現在、MLエンジニアを募集中ですので、気になった方はぜひご連絡ください。
※ この記事はnote社内での登壇内容を再編しました
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