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RubyKaigiには技術と出会いが詰まっている 〜 タイミー、note、コインチェックのAfter RubyKaigiレポ

Rubyコミュニティ最大級のイベントであるRubyKaigiは、技術と出会いが詰まった貴重な場です。一流エンジニアの登壇が聴けたり、コミッターの方々と話すことができたり、友達ができたり……など様々な出会いがあります。

そんな、RubyKaigiに参加したタイミー、note、コインチェックのエンジニアたちが、それぞれの視点から2024年のRubyKaigiでの体験を語りました。

良かったセッションや興味深いブースの紹介に加え、アフターパーティーでの交流やOSS初コミットの体験も含めて、技術イベントの魅力を余すところなくお届けします。

※ この記事は、6/4に実施された「After RubyKaigi 2024 〜 タイミー、note、コインチェック 〜」で行われたセッションを再編しています

登壇者紹介

成田 篤基/ 株式会社タイミー サーバーサイドエンジニア

2024年1月タイミー入社。大学在学時よりソフトウェアエンジニアとして複数のサービスを開発。現在はサーバーサイドエンジニアとして、企業とワーカーがマッチングする領域の開発を行なっています。

杉浦 生隼 / note株式会社 開発グループ リードエンジニア

2021年にnote株式会社入社、2023年末よりリードエンジニアを務める。noteクリエイターのコンテンツを読者に届けるための基盤開発から施策実施・効果検証まで一貫して手がける。好きなRubyメソッドはEnumerable#reduce。好きな映画はスター・ウォーズ。

日下 宗之 / コインチェック株式会社 アプリケーション基盤部 アプリケーション基盤G

2022年7月 Coincheck入社。2024年1月からアプリケーション基盤Gのグループリーダーを務める。前職では SIer として toB の システム開発に従事。Coincheck 入社後はユーザ管理まわりの領域を中心に開発。アプリケーション基盤G としては、ruby/rails のアップデートを含めた 基盤整備や、モジュラモノリス化を推進。

ネームスペース、円周率計算、JITコンパイラ…… 2024年のよかったセッションを語る

杉浦:
まずはよかったセッションからですね。私は、namespaceの話とHomebrewのリードエンジニアの方の発表、そして円周率計算にRubyを使ったという発表ですね。特にnamespaceの発表は驚きでした。Rubyの依存関係を本格的に分離できる仕組みが提案されているなんて、夢のようです。

日下:
namespaceの発表は私も聞かせてもらいました。副作用が懸念されていて使いづらいgemなどに対しても、きれいに分離される方法ができるのは素晴らしいと思います。バージョン違いのgemを共存させる話もでていて、こちらは運用面など色々な考慮が必要そうですが、使いどころはたくさん出てくると思います。

成田:
私が聞いててよかったセッションは、同じくπ計算の話とJITコンパイラ、Good first issues of TypeProfの3つです。πの計算でワールドレコードを作ったシミュレーションでRubyを使ったというのが興味深かったです。

杉浦:
もともと円周率を計算するツールがGCP上のコンピュータークラスタで動いていて、その探索パラメータ調整にRubyのerbを使ったんだそうです。テンプレートエンジンを使ってYAMLではなくRubyで書けるのはおもしろい使い方だと思います。

成田:
技術的な話だけでなく、"Ruby Made the Pi World Records Possible"というスライドがあって、自分たちが使っているRubyが世界記録の達成に貢献しているんだと感じて、グッときました。

日下:
あと、昨年に引き続きパフォーマンス系の話題が多かったですよね。MatzのキーノートでもJITの話がありましたし。Rubyは長い間、速度が弱点と思われてきたような経緯もあると思いますが、そこが、強みになり得るという可能性に盛り上がりを感じています。

杉浦:
Rubyの標準ライブラリについての柴田(@hsbt)さんのセッションは、gemの分類の違いなどがとても分かりやすく説明されていて勉強になりましたね。

日下:
Ruby Committers and the Worldの話も面白かったです。特に、async/awaitを読めるかついては会場にも挙手を求めたりしていて、Matzが「async/awaitを好む人は正直どうかしている」と言っていたときの会場の盛り上がり印象的でした(笑)

おもしろかった企業ブースは?

杉浦:
今年はブースの出展数が多かったですね。以前、参加した時の倍近くの数だったと思います。

成田:
ブースを回るスタンプラリーも人気でしたよね。2枚目をコンプリートした人はそんなに多くなかったみたいですが。

日下:
私はコンプリートしましたよ。珍しがられましたね(笑)
セッションも見たかったので全部をゆっくり回れたわけではありませんでしたが、それでも楽しかったですね。

杉浦:
Wantedly社のブースではスーパーファミコンの実機の展示もありましたよね。実際にスーパーファミコン用にコンパイルしたmruby/cのコードを動かしていて、Flappy Birdみたいなゲームもプレイできました。Rubyでゲーム開発が盛り上がってる感じがしましたね。

成田:
スマートバンク社とスマートHR社のブースもおもしろかったです。スマートバンク社では決済システムの裏側の話を聞けましたし、スマートHR社は労務関連用語を使ったタイピングゲームが人気でした。

日下:
スマートバンク社は実際の物理カードを使ったデモが印象的でしたね。管理画面の方もしっかり見せてもらえました。スマートHR社のタイピングゲームで、はじめの方で2位に入賞したんですが、どんどん抜かされていって景品はもらえませんでした(笑)

杉浦:
他にも、Simple Form社のブースのクイズもおもしろかったです。ブースを通して、サービス自体に興味を持ちました。

成田:
様々な企業のサービスや技術に触れられるのが魅力的でしたね。普段の仕事では関われない分野の話も聞けて、視野が広がった気がします。

日下:
Rubyがいかに幅広い領域で使われているかが実感できましたね。また、ブースのスタッフの方々も皆さん親切で、Rubyコミュニティの雰囲気の良さを感じました。

杉浦:
そういえば、会場ではドリンクのサービスもありましたよね。並んでいる時に「Array#last」なんて書いてあって、Rubyネタが随所に散りばめられていたのが印象的でした。主催者の遊び心を感じました。

成田:
Wi-Fiのパスワードは沖縄に関連したものだったみたいですしね。

日下:
そうそう、たしか那覇がらみの言葉だった気がします。こういう小ネタがカンファレンスを盛り上げていましたね。

アフターパーティーがきっかけでOSSへ初コミット!社内交流もRubyKaigiの良さ

成田:
アフターパーティーは、数百人規模の大きなイベントでした。普段はオンラインでしか話したことがない人たちと直接会えて、話ができたのがとても良い経験になりました。実は以前のRubyKaigiの懇親会で、コミッターの方々とお話しして、それがOSSへのコミットのきっかけになったんです。

※ このイベント中に成田のコミットが承認されました🎉

杉浦:
僕は今回のアフターパーティーに行けなくて残念でした。社内のエンジニアが楽しそうにしている写真を送ってきて、すごく羨ましかったです(笑)

日下:
私は行ったのですが、最初は知り合いが少なくてみんなグループになっているところに話しかけるのは勇気がいりました。だけど、話しかけてみるとすぐに打ち解けることができました。Rubyの話しで自然と会話が進みましたね。「仕事では使っていないけど個人的に使っている」といった方も多くて、いろいろな話が聞けて楽しかったです。

成田:
アフターパーティーで知り合った方と、東京でまた会おうと約束しました。帰ってからも交流が続けられるのはうれしいですね。あと、私が昔に作ったサービスのユーザーさんとも会えて、感想を聞けたのも良い経験でした。こういう出会いができるのはカンファレンスの魅力だと改めて感じました。

日下:
ピクシブ主催のRuby Music Mixingにも行かれましたか?DJプレイで盛り上がっていたようですが。

成田:
行きました!ものすごい盛り上がりでしたね。

杉浦:
なるほど。iOSDCなんかでもそういう傾向があるみたいですね。エンジニアの中にはDJを趣味にしている人も多いのかもしれません。

日下:
RubyKaigiの醍醐味は、セッションだけでなく、こうした場での交流にもありますよね。普段は話せないような人とつながれるのは、このうえない刺激になります。

日下:
前日入りして合計4泊しました。会社を離れてその場所に長く滞在できたのがとても良かったです。業務のことを忘れて完全にRubyKaigiモードに切り替えられました。セッション中だけでなく、普段の食事やちょっとした買い物の際にも、Rubyの話で盛り上がることができて楽しかったです。沖縄の人たちにもRubyKaigiのことを知ってもらえた気がします。

成田:
オフラインイベントはやっぱり良いですね。1月にタイミーに入社したのですが、オフラインで自社のメンバーに会うことがほとんどありませんでした。普段はSlackだけのやりとりだったので、RubyKaigiで現地に行ってみて、『本当にいたんだ』と実感しました(笑)

杉浦:
note社もフルリモートなので、その気持ちはわかります。一緒に行ったエンジニアが大学の後輩で、学部も一緒だったということが分かり、盛り上がりました。オフラインならではの交流ができて本当に良かったです。

日下:
弊社は今年は人数が少なかったのですが、部署が違う人たちと交流できて、絆が深まった気がしますね。

成田:
タイミーのみんなで焼き肉に行く機会もあって、本当に楽しかったです。オフラインじゃなければ体験できないことはたくさんありますね。

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